7/28米国株式市場は反発。米PCEデフレータがインフレ鈍化を示唆ソフトランディングへの期待。

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7/28(金)の株価

前日比(%)
日経平均32,759.23円-0.40
ダウ平均35,459.29ドル+0.50
S&P5004,582.23ドル+1.90
ナスダック14,316.66ドル+0.99
ラッセル20001,981.54ドル+1.36
米10年国債3.957-1.08
恐怖指数(VIX)13.33-1.08

28日の米国株式市場は3指数共に反発。米PCEデフレータがインフレ鈍化を示唆ソフトランディングへの期待。

28日の米国株式市場は3指数共に反発。

この日発表の6月の米PCEデフレータが概ね予想通りではあったものの、前年比で前回から大きく低下しており、インフレの鈍化傾向を示唆した。米株式市場もポジティブな反応を見せた。

FRBは今週のFOMCで予想通りに利上げを実施したが、次回については選択肢をオープンにする姿勢を滲ませていた。それに対して市場は、年内の追加利上げの可能性は依然あるものの、9月は据え置くとの見方に傾いている。確率は80%程度。本日のPCEデフレータはその見方を追認する内容との受け止めのようだ。

「市場ではソフトランディングへの期待が高まっており、今週はその可能性を示す経済データが目白押しだった。これが市場を新高値に導くきっかけになるかもしれない」といった声も出ている。

決算は続いており、ダウ採用銘柄のP&G<PG>やインテル<INTC>、そして、フォード<F>が取引開始前までに4-6月期の決算を発表していた。

インテルは予想外の黒字となったほか、売上高も予想を上回った。ガイダンスも公表し、第3四半期は予想を上回る見通しを示していた。PCの底打ちで、部品の需要改善を示唆。株価も上昇しており、ダウ平均をサポートしている。

一方、フォードは好決算ではあったものの、電気自動車(EV)が全体的に弱く、株価は下落。今年のEV関連の損失が当初の想定よりも拡大を見込んでいたほか、今後のEVの展開にも懐疑的な見方が広がっており、同社はEVの生産拡大計画を見直している。

米個人消費支出は上向き、PCEコア価格指数は前年比で鈍化

  • PCEコア価格指数は前年同月比4.1%上昇、5月は4.6%上昇
  • 実質PCEは前月比0.4%増加、トラック需要がけん引

米国では主要なインフレ指標が、物価圧力の緩和が続いていることを示した。個人消費も活発となり、7-9月(第3四半期)を前に景気が勢いを増していたことが明らかになった。

6月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.5%増エコノミスト予想の中央値は0.4%増個人所得は前月比0.3%増市場予想は0.5%増PCE総合価格指数は前月比0.2%上昇と、市場予想と一致前年同月比では3.0%上昇で、同じく市場予想に一致コア価格指数は前月比0.2%上昇(市場予想0.2%上昇)前年比では4.1%上昇(予想4.2%上昇)

インフレ調整した実質PCEは前月比0.4%増加。1月以来の大幅な伸びとなった。

前年同月比でのインフレ率は依然として連邦公開市場委員会(FOMC)の目標を上回っているものの、この1年間で物価と賃金の伸びが著しく減速したことで、景気を悪化させずにインフレを抑制できるという期待が膨らんでいる。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は26日、引き締めサイクルが終了に近づいている可能性を示唆した。同日終了したFOMCは22年ぶりの高水準に政策金利を引き上げた。9月の次回会合までに、複数の重要統計が発表される。

今回の統計ではもう一つ、米金融当局が注視するサービス関連物価指数について朗報があった。ブルームバーグの算出によれば、住宅・エネルギーサービスを除くサービス業の価格指数は前月比0.2%上昇し、5月と同じ伸び率だった。前年同月比では4.1%上昇し、2022年中盤以来の小幅な伸びにとどまった。

金融環境がタイトになり、物価が依然上昇しているものの、堅調な労働市場のお陰で消費者は支出能力を維持できている。賃金の伸びは物価上昇ペースを上回り始めており、価格高による負担を和らげている。

財への支出はインフレ調整後で前月比0.9%増加。1月を除いては今年最大の伸びとなった。トラックの新車需要が強いことを反映した。サービスへの支出はインフレ調整済みで0.1%の小幅な伸びだった。

ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール、ジョナサン・チャーチ両氏は今回の統計を受け、「FOMCにとって重要な点は明白だ。引き締め政策をもっと長く維持する必要があるということ。ただ、それが年末あたりに成長減速を招く可能性がある」と分析した。

個人消費を支える実質可処分所得は前月比0.2%増加。賃金・給与はインフレ調整前で0.6%増と、今年1月より後では最大の伸びとなった。貯蓄率は4.3%に低下した。

米雇用コスト指数、2年ぶり水準に伸び鈍化-予想も下回る

  • 4-6月の米雇用コスト指数、前期比1.0%上昇・前年比4.5%上昇
  • 賃金・給与の伸びは全般的に減速、労働市場の緩やかな減速を示唆

第2四半期(4-6月)の米雇用コスト指数は伸びが予想を下回り、2年ぶりの水準に鈍化した。労働市場が緩やかに減速している兆しを示した。

4-6月の米雇用コスト指数(季節調整後)は前期比1.0%上昇伸びは2年ぶりの低水準市場予想の中央値は1.1%上昇前年同期比では4.5%上昇

前年比の伸びも2022年第1四半期(1-3月)以来の低水準となった。ただ、新型コロナウイルス流行前の標準的なペースを依然として大きく上回っている。

雇用コスト指数は月次の雇用統計に含まれる賃金データと同じ頻度で発表されるものではないが、職業や産業間における雇用構成の変化によってデータが歪められることがないため、エコノミストに重視される傾向がある。

賃金・給与の伸びは業種を問わず広範囲で減速した。諸手当の伸びも緩やかになった。

雇用は引き続き堅調だが、足元では広範なインフレ圧力の緩和に伴い、さまざまな統計で賃金の伸び鈍化が確認されている。米金融当局の急ピッチの利上げにもかかわらず、労働市場の継続的な力強さがこれまで経済の底堅さを支えている。

非軍人労働者の賃金・給与は4-6月に前年同期比4.6%上昇。伸びは2021年末以来の水準に鈍化した。

一部指標では、賃金の伸びがようやくインフレ率を上回り、米国民の購買力を高めている。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は26日の記者会見で、利上げ継続の是非を判断する上で、雇用コスト指数と今後発表される消費者物価に関する統計を精査する考えを示した。

米消費者マインド指数、2021年10月以来の高水準-インフレ鈍化で

  • 7月のミシガン大消費者マインド指数確定値71.6-前月64.4
  • 1年先のインフレ期待は3.4%に上昇-前月3.3%

7月の米消費者マインド指数は2021年10月以来の高水準に上昇した。インフレの緩和が続いたことが背景。

ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は71.6前月の64.4から上昇ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は72.6速報値は72.61年先のインフレ期待は3.4%に上昇(前月は3.3%)5-10年先のインフレ期待は3%(前月も3%)

賃金上昇のペースがようやくインフレを上回り、失業が低水準にとどまる中、景気に対する楽観が強まっている。この日別に発表された主要な米インフレ指標は物価圧力の緩和が続いていることを示した。

消費者マインド指数の統計では、生活水準の悪化は物価高が要因だとする回答比率が36%に低下し、1年半ぶりの低水準となった。ただし、低所得層ではこの回答比率は上昇した。

ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は「こうした高所得層と低所得層の間に再び生じた乖離(かいり)が持続すれば、高所得層ほど楽観的なセンチメントを持つという通常のパターンが戻ることになる」と発表文で指摘。「消費者マインドの回復があらゆる所得層で共有されるかどうかは、数カ月後に明らかになるだろう」と続けた。

7月の消費者マインド指数確定値は、今月上旬に発表された速報値から下方修正された。予想外の製油所の操業停止などを要因に、ガソリン価格が上旬以降に大幅上昇したことが背景にある。

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