7/7米国株式市場は続落。米雇用統計には安心感も景気への警戒感は根強い。

経済ニュース相場分析

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7/7(金)の株価

前日比(%)
日経平均32,388.42円–1.17
ダウ平均33,734.88ドル-0.55
S&P5004,398.95ドル-0.29
ナスダック13,660.72ドル-0.13
ラッセル20001,864.66ドル+1.22
米10年国債4.066+0.82
恐怖指数(VIX)14.83-0.61

7日の米国株式市場は3指数共に続落。米雇用統計には安心感も景気への警戒感は根強い。

7日の米国株式市場は3指数共に続落。

この日は米雇用統計が発表され安心感も出ていたものの、景気の先行き警戒感は根強いようだ。

その米雇用統計だが、非農業部門雇用者数(NFP)が20.9万人増と予想を下回った。これを受けてFRBのタカ派姿勢が緩むのではとの期待から、株式市場もネガティブな反応を示していなかった。今月FOMCでの利上げ見通しに変化はないものの、9月以降の利上げについては若干確率を下げている模様。

ただ、失業率は依然として低水準で推移しており、平均時給も前年比4.4%と高水準が維持されている。また、NFPについても伸びが鈍化したとはいえ、歴史的な基準である20万人増を上回っている状況。FRBのタカ派スタンスに大きく変化を与える内容でもなさそうだ。

下半期の相場入りで、景気の先行き警戒感が広がり、今週の株式市場はリスク回避の雰囲気が広がっていた。前日はADP雇用統計が予想外に強かったことで、本日の米雇用統計にも警戒感が出ていた。ダウ平均も大幅に下落していたが、きょうは安心感からその動きも一服していたようだ。

ただ、上値は重く、来週の米消費者物価指数(CPI)や、大手銀を皮切りに始まる決算を確認したい雰囲気は強い。

米雇用者数、6月は伸び鈍化-賃金はなお力強い労働市場を示唆

  • 5月と4月の雇用者数の増加幅は合計で11万人下方修正
  • 6月の賃金の伸びは前月比0.4%増-市場予想を上回る

米国では6月、雇用者数の伸びが市場予想を下回った。労働市場が徐々に減速しつつあることが示された。ただ、賃金は堅調な伸びが続いている。

非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比20万9000人増2020年末以来の小幅な伸びエコノミスト予想の中央値は23万人増前月は30万6000人増(速報値33万9000人増)に下方修正前々月も下向きに修正された家計調査に基づく失業率は3.6%に低下市場予想も3.6%前月は3.7%平均時給は前月比0.4%増市場予想は0.3%増

今回の雇用統計は、高金利と数カ月にわたる消費低迷で景気見通しに対する懸念が生じる中、労働市場が幾分か勢いを失いつつあることを示唆している。ただ労働市場はなお十分健全で、賃金の伸びも底堅く、米連邦公開市場委員会(FOMC)は7月会合で利上げを再開する可能性が高そうだ。

スティーフル・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、リンゼー・ピエグザ氏は「引き締まった労働市場環境が幾分か緩む必要がある。そうなれば金融当局は賃金が落ち着き始めるとの確信を強められる」と指摘した。

6月の雇用の伸びは医療や政府、建設といった分野で特に目立った。一方、小売りや運輸・倉庫では雇用が減少した。5月と4月に関しては、雇用者数の増加幅が2カ月合わせて11万人下方修正された。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、スチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー氏は「6月の雇用減速とその前の2カ月の下方修正でも、金融当局を安心させるには不十分だ。労働需給のバランスは改善しつつあるが、金融当局がスーパーコアのサービス価格上昇を重視していることを踏まえると、前月比で賃金と労働時間が増加したことは、当局が抑制する必要のあるインフレの勢いを強める」と分析した。

平均時給は3カ月連続で前月比0.4%増。前年同月比では4.4%増加した。週平均労働時間は若干伸びた。

労働参加率は62.6%と、前月比変わらず。25-54歳の年齢層では21年ぶり高水準に上昇した。

インディード・ハイアリング・ラブの調査ディレクター、ニック・バンカー氏は「労働市場は減速しているが、強い状況からの減速だ」とリポートで指摘。「保証はできないが、米労働市場は引き続き、ペースは落ちるがより持続可能な経済成長への方向を指している」と分析した。

また経済的な理由からパートタイムでの仕事を余儀なくされている労働者の数は2020年4月以来の大幅な増加となり、これも労働需要鈍化の兆候を示している。「U6」と呼ばれる不完全雇用率は昨年8月以来の高水準に上昇した。U6にはフルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者や、仕事に就きたいとは考えているものの積極的に職探しをしていない人が含まれる。

7月の米利上げに「青信号」、FOMC予測に反して賃金の伸び加速

  • 9月利上げについては議論の余地ー元FRB金融政策局長
  • 今年は少なくともあと2回の利上げ-KPMGのスウォンク氏

6月の米雇用統計は平均時給が予想を上回る伸びとなり、労働市場がなお堅調であることを示唆する内容となった。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を引き上げ、早ければ9月にも追加利上げを検討する方向に引き続き向かっているようだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)の元金融政策局長で現在はドレイファス・アンド・メロンのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は「7月会合に向けて青信号が出たのは明らかだ」と指摘。「9月は議論の余地がある。どうなるのか最後の最後まで不透明だ」と続けた。

6月のFOMC会合では、参加者ほぼ全員が追加利上げの必要性を認識していた。根強いインフレとタイトな労働市場がその理由だ。5日に発表された議事要旨で明らかになった。今月25ー26日の会合で金利が引き上げられる可能性は、ほぼ確実なレベルにまで市場に織り込まれている。ただ9月と11月に関しては市場はやや確信を持てていない。

FOMC当局者らは特に賃金の伸びが加速している兆候が気になるだろう。こうした加速が、2%のインフレ目標とかけ離れた物価上昇を助長している可能性があると考える当局者もいる。

KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「実際に賃金圧力は加速した」と指摘する。「経済にこの種の勢いがあり、賃金の伸びがこのように根強いため、今年は少なくともあと2回の利上げがあると引き続き予想する」と述べた。

政策当局者らの予測では、経済は長期トレンド水準を下回るペースに減速し、来年には失業率が4.5%に上昇する見通し。雇用市場に生じたたるみが物価圧力を和らげる公算だ。6月雇用統計は失業率が小幅に低下し、この予測と反対の内容となった。

シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「依然として本当に強いリポートだ」と6月雇用統計を評価。同氏は7月と9月の利上げを予想している。「当局は時給の伸び加速と失業率への懸念を強めただろう。いずれも予測と反対の方向に動いている」と続けた。

ブルームバーグエコノミクスのスチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー両エコノミストは、「パートタイム労働者の増加や特定セクターでのレイオフ、今後予想される雇用者数の修正など、労働市場には明らかに亀裂が生じている。しかし持続的にインフレを抑制しなくてはならないFOMCは、なおも労働市場を圧迫し続ける必要がある。7月会合では0.25ポイントの利上げがあるとわれわれはみている」と述べた。

米労働市場に減速の兆候じわり、底堅さの陰でほころび

  • 6月の雇用者数は2020年以来の低い伸び、過去2カ月分も下方修正
  • 不完全雇用率と黒人の失業率は上昇傾向に、雇用の裾野広がり欠く

6月の米雇用統計では非農業部門雇用者数がなお底堅い伸びを示したが、水面下ではほころびも見え始めた。以下、その兆候をまとめた。

雇用の伸びは減速

非農業部門雇用者数は前月比20万9000人増と、2020年末以来の小幅な伸びにとどまった。過去2カ月分も下方修正されるなど、従来の想定以上に雇用ペースが鈍っていることをうかがわせた。米労働省労働統計局は8月、雇用統計の年次改定暫定値を公表する見通しで、年初から数カ月の雇用がさらに減速している兆候が明らかになる可能性がある。

さらに雇用は一握りの業種に集中する傾向を強めている。雇用がセクター全般にどれほど広がっているかを示す雇用動向指数(DI)は2022年2月にピークをつけた後、新型コロナウイルス流行前の水準にほぼ戻っている。

リージョンズ・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、リチャード・ムーディー氏は「雇用市場が減速しているのは確かなようだ」と指摘。「これから公表される改訂値に関するわれわれの予想が正しければ、労働市場の冷え込みの程度についてかなりの人が驚くことになるだろう」と述べた。

不完全雇用率

失業率よりも労働市場のスラック(たるみ)をより正確に示すとされる不完全雇用率はおよそ1年ぶりの高水準にある。経済的な理由からパートタイムで勤務する労働者が増えているためだ。6月はコロナ禍直後以降で最大の上昇となった。

雇用主の一部はなお人材確保・維持に苦戦しており、賃金の伸びが高止まりする要因となっているものの、金利上昇と見通し悪化が労働需要の重しになり始めている可能性がある。

調査会社インフレーション・インサイツ創業者のオメイア・シャリフ社長は「雇用に関して全般的に慎重な姿勢が強まっている。経済的な理由によるパートタイム勤務というのは、これが足元の雇用情勢に浸透しつつあることを示す確かな兆候だろう」と話す。

臨時社員

6月の臨時・契約社員の数は約2年ぶりの水準に落ち込んだ。これは一般に、労働市場の軟化を示す先行指標とされる。臨時社員は通常、需要が高まっている局面では最初に雇用され、成長が鈍化すると真っ先に削減の対象となる傾向があるためだ。

黒人の失業率

6月の統計では、雇用動向において人種格差が広がっていることも浮き彫りとなった。黒人の失業率は6%に上昇し、昨年8月以来およそ1年ぶりの高水準。黒人の失業者数は5-6月に26万7000人増と、全体で30万人増加した失業者数の90%近くを占めた。

求人サイト、ジップリクルーターのチーフエコノミスト、ジュリア・ポラック氏は、黒人の労働者は「労働需要が後退すると、最初に職を失うことが多い」と指摘。低賃金職に占める割合が突出して高い傾向があり、個人消費が低迷し始めると最初に打撃を受けやすいという。

ポラック氏は「6月の雇用統計は再び目を見張るような強い内容になるとみられていた。だが、むしろ労働市場の冷え込みの兆しを浮き彫りにした」と指摘した。

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