3/20米国株式市場は反発。銀行株に買戻しも実体経済への不安は強い。

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3/20(月)の株価

前日比(%)
日経平均26945.67円-1.42
ダウ平均32,244.58ドル+1.12
S&P5003,951.57ドル+0.89
ナスダック11,675.54ドル+0.39
ラッセル20001,744.99ドル+1.11
米10年国債3.483+0.37
恐怖指数(VIX)24.16-1.35

20日の米国株式市場は3指数共に反発。銀行株に買戻しも実体経済への不安は強い。

20日の米国株式市場は、3指数共に反発。

金融システムへの不安感が強まっているが、週末にUBS<UBS>によるクレディスイスの買収が伝わったほか、主要国の中銀による流動性供給強化の発表があったことで、ひとまず市場の不安感は一服している。

スイスの当局はクレディスイスが発行している高利回りの分、弁済順位が最下層の偶発転換社債(CoCo債)として知られる「その他ティア1債(AT1債)」を無価値化すると発表。債権者からは株式よりも弁済順位が低いとして怒りの声が上がっているが、スイス当局は、この決定がクレディスイスの資本増強につながると説明し、民間投資家にも痛みの分担を求めた。大手銀行株が買い戻されていることも安心感につながったいる模様。欧州市場で大きく下落していたUBS<UBS>も下げを解消。

ただ、市場の不安感は根強く、積極的に買い戻しを入れる向きは少ない。「金融システムへの不安は徐々に解消され、株式市場は短期的に反発する可能性はある。しかし、長期的にはさらなる実体経済への不安が予想される」といった声も出ている。

「金融システムへの不安感と、さらなる想定困難な事象の出現も警戒され、景気後退は確実のようだ。きょうは新たな強気相場の始まりというよりも、弱気相場の中の上昇のように感じられる」といった声も出ている。

今週はFOMCが予定。今回の件でFRBがどう行動してくるか確認したいところ。いまのところ、0.25%ポイントの利上げが有力視されているが、据え置きのシナリオも25%程度の確率で見ている。利上げは実施するものの、その先は慎重なアプローチを強調してくるのではとの見方も多い。現地時間の22日午後(日本時間23日深夜3時)に結果が公表される。

きょうは銀行株が買い戻されているものの、ファースト・リパブリック<FRC>は急落。S&Pグローバルが同社の格付けを再び引き下げたことが圧迫。この1週間で2回目となる。同社株は先週末までの2週間で80%超急落しているが、その下げをさらに拡大させ、一時11ドル台半ばまで急落。JPモルガン<JPM>のダイモンCEOをはじめとする主要銀行のトップは、ファースト・リパブリック<FRC>に対して行った計300億ドルの預金の一部または全体を資本に転換できるかどうか検討していると伝わっていた。

FOMC、8.6兆ドルのバランスシートも焦点-銀行支援で拡大再開

  • 資金調達環境の悪化で銀行はFRBの流動性ファシリティーを利用
  • 銀行セクター支援によりFRBのバランスシートは再び拡大を開始

今週21、22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、利上げを休止するかどうかが一番の焦点だが、もう1つ確実に大きな注目を集める重要な政策決定がある。巨額な規模に膨らんだ米連邦準備制度理事会(FRB)の保有債券に関する方針だ。

既に資金調達を巡る圧力が高まっていたところに銀行セクターの混乱が発生。この混乱は今後さらに深まるばかりのように見受けられる。そうした環境下において、FOMCが8兆6000億ドル(約1127兆円)規模のバランスシートについてどのような方針を示すのか、金融市場では注目が集まっている。

金融当局はバランスシートの規模を新型コロナウイルス禍前の水準に戻すべく、3月まで縮小を続けてきた。だがここにきて、銀行システム支援を目的とした緊急融資プログラムによりバランスシートは再び膨らみ始めている。19日にはFRBなど主要中銀が、ドルの流動性供給拡充に向け協調行動を取ると発表した。

金融安定を巡る懸念から、政策当局は量的引き締め(QT)と呼ばれる債券ポートフォリオの縮小を減速させるとの見方が一部にある。その一方で、FOMCとしては利上げを休止したとしても、インフレ抑制という最重要目標を達成する上で、今週の会合で保有債券縮小の取り組みへの変更を示唆する可能性は低いとの声もある。ただそれでも例外となるケースが一つあるという。銀行セクターのストレスが深刻度を一段と増すような場合だ。

ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者スバドラ・ラジャッパ氏は、FRBによる米銀行支援の動きが「FRBのバランスシートを拡大させるのは明白だ」と指摘。FRBが提供する流動性ファシリティーの利用が「小規模で広がらなければ、QTは恐らく継続される。だが流動性ファシリティーの利用が大規模な場合、準備金不足を巡る懸念が高まり始めることから、QTは停止される可能性が高い」と分析した。

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