6/1米国株式市場は反発。利上げ見送り期待高まる 債務上限の進展も好感。

経済ニュース相場分析

50才から始める米国株式投資初心者の資産運用

6/1(木)の株価

前日比(%)
日経平均31,148.01円+0.84
ダウ平均33,061.57ドル+0.47
S&P5004,221.02ドル+0.99
ナスダック13,100.98ドル+1.28
ラッセル20001,767.94ドル+1.05
米10年国債3.603-1.10
恐怖指数(VIX)15.65-2.29

1日の米国株式市場は、3指数共に反発。利上げ見送り期待高まる 債務上限の進展も好感。

1日の米国株式市場は、3指数共に反発。

IT・ハイテク株中心に次第に買い、ナスダックは大幅高。エヌビディア<NVDA>も買い戻された。

IT・ハイテク株については、特に人工知能(AI)関連中心に高値警戒感が指摘されている。きょうはAIアプリのC3・ai<AI>が決算を受けて大幅安となっているが、投資家の熱意に応えられていないとの懸念を強めている。ただ、特段の売り材料が無ければ、いまは資金が流れ込むようだ。個人投資家が米株式市場に戻って来ているとのデータも出ている。

前日に米下院が債務上限法案を可決し、米国のデフォルトを回避するための重要な一歩を踏み出した。超党派の支持を得て314対117で可決し、法案は上院に送付されている。デフォルト(債務不履行)は回避できそうな情勢になっているが、株式市場の反応は限定的。「下院が債務上限法案を可決したことは、この問題を乗り越えるための重要な一歩だが、市場は以前から債務上限に関する解決を織り込んでいた」との指摘も出ている。

債務上限を巡る争いをよそに、市場は6月FOMCに注目している。前日のFOMC委員の発言で6月は利上げが見送られるのではとの観測が一気に高まった。短期金融市場では75%超の確率で据え置きを見込んでいる。ただ、明日の米雇用統計が強い内容であれば、その見方が変わる可能性もある。この日は5月のADP雇用統計が発表になったが、予想を大きく上回っていた。ADP雇用統計と米雇用統計とは方向が必ずしも一致しないが、強い内容であれば、局面は一気に変わる可能性は留意される。

米ISM製造業統計、7カ月連続の活動縮小-仕入れ価格も低下

  • 仕入れ価格指数は9ポイント下げて44.2、7月以来の大幅な低下
  • 受注の指数は42.6と、過去3年で2番目に低い数字

5月の米製造業活動は7カ月連続で縮小し、受注は縮小ペースを速めた。原材料コストはほぼ1年ぶりの低下を示した。

米供給管理協会(ISM)が発表した5月の製造業総合景況指数は46.9前月の47.1から低下市場予想の中央値は47.0同指数は50が活動の拡大と縮小の境目を示す7カ月連続での50割れは、2009年以来の長期トレンド

今回の統計は製造業セクターの低調と合致する。消費者の支出はサービスに集中し、企業は売り上げに沿った在庫調整に注力。設備投資は限定的になっている。

仕入れ価格指数は前月から9ポイント下げて44.2。7月以来の大幅な低下となった。

受注の指数は3ポイント超下げて42.6。過去3年で2番目に低い数字となった。

ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は「新規受注は一段と縮小した。回答者らは依然、製造業がいつ成長を再開するのか不安に思っている」と発表文で指摘。「将来の成長を楽観する回答と、目先の需要低下が継続するとの回答はほぼ1対1だった」と続けた。

受注残は前月に続いて低下し、2009年以来の低水準となった。入荷遅延は43.5と、14年ぶりの低さだった。

生産の指数は51.1に回復し、昨年10月以来の高さ。雇用の指数も上昇し、昨年8月以来のレベル。2日には5月の米雇用統計が発表される。

在庫に関する指数はまちまち。在庫指数は2020年8月以来の低水準だった一方、顧客在庫の指数は小幅に上昇し、2016年以来の高水準。受注の伸びが抑制された状況が、この先数カ月も続くことを示唆している。

米ADP民間雇用者数、5月は27.8万人増-全ての予想を上回る

  • 雇用は娯楽・ホスピタリティーや鉱業、建設業、貿易・運輸で増加
  • 転職した労働者の年間報酬は12.1%増加、21年10月以来の低い伸び

ADPによると、5月の米民間雇用者数は、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の全てを上回り、景気を下支えする底堅い労働市場を浮き彫りにした。

米民間雇用者数は27万8000人増ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は17万人増前月は29万1000人増(速報値29万6000人増)に下方修正

データはADPリサーチ・インスティテュートとスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボが共同で算出した。

雇用増は娯楽・ホスピタリティーがけん引し、鉱業や建設業、貿易・運輸でも増加した。増加は従業員500人未満の企業に集中。南部が唯一、減少した地域となった。

2500万人余りの給与を分析したADPの統計によると、賃金の伸びは減速。転職せず同じ職にとどまった労働者の報酬は前年同月比6.5%増加。転職した労働者の年間報酬は中央値で12.1%増加したが、前月からは1ポイント低下し、2021年10月以来の低い伸びにとどまった。

ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は発表文で「賃金の伸びが大きく減速している。雇用は力強いものの、賃金インフレへの懸念は薄れている可能性がある」と指摘した。

ADP統計は、家計支出を下支え景気を拡大させている労働市場がなお力強いことをあらためて示した。テクノロジー企業で始まったレイオフは他の産業にも広がりつつあるが、多くの企業が労働者を引き付け、維持するのになお苦戦している。

連邦公開市場委員会(FOMC)は消費者需要とインフレ見通しの手掛かりとして労働報酬に注目しており、賃金減速は米金融当局にとって良いニュースだ。

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