1/26米国株式市場は反発。GDP受け景気懸念和らぐ。

経済ニュース相場分析

50才から始める米国株式投資初心者の資産運用

1/26(木)の株価

前日比(%)
日経平均27,362.75円-0.12
ダウ平均33,949.41ドル+0.61
S&P5004,060.43ドル+1.10
ナスダック11,512.41ドル+1.76
ラッセル20001,903.06ドル+0.67
米10年国債3.502+1.42
恐怖指数(VIX)18.73-0.35

26日の米国株式市場は、3指数共に反発。GDP受け景気懸念和らぐ。

26日の米国株式市場は、3指数共に反発。

取引開始前に発表になった第4四半期の米GDP速報値が予想を上回ったことで、マイルドな景気後退との市場の期待を裏付け、米株式市場も買い先行で始まった。ただ、買いが一巡するとすぐに戻り売りに押され、その後のダウ平均は前日終値を挟んで一進一退を続けていたが、終盤になってやや上げ幅を広げる展開。

この日の米GDPは強い内容ではあったものの、個人消費が予想を下回ったほか、在庫の増加が主因となっており、第2、第3四半期は反動が出ることも予想される。市場からは、「健全なペースでの拡大を示したものの、FRBの積極利上げが今年の成長見通しを危うくしていることを示している」といった声も出ていた。

ダウ平均は5日続伸しており、今年に入ってからの堅調な動きを続けているが、多くの投資家はこの上昇を追いかける意欲がないようだとの声も聞かれる。米大手銀の直近のアンケート調査では、今後数週間のうちに保有株を増やす予定と答えた顧客は約35%だという。これは、過去最低を記録した11月下旬の33%に匹敵する低い数値。

米GDP、FRBが望む形で減速-なお残る景気後退のリスク

  • 10-12月GDPは予想上回る伸び-基調的な需要は鈍化
  • 消費者の動向を見ると失速が明らか-エコノミスト

2022年10ー12月(第4四半期)の米経済成長率は市場予想を上回る伸びとなり、成長を阻害することなくインフレを抑制したい米金融当局が望むような緩やかな減速となった。

しかし統計の詳細を掘り下げたエコノミストらは、特に個人消費の減速など、年内リセッション(景気後退)入りの大きなリスクが残っていることを示唆する十分な警告サインも読み取っている。

10-12月の実質GDP速報値は前期比年率2.9%増。7-9月(第3四半期)は3.2%増だった。これとは別に発表された労働市場に関する統計も、景気後退の危機というよりは、むしろ景気の底堅さを示した。

10-12月の実質GDP速報値は前期比年率2.9%増ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は2.6%増7-9月(第3四半期)は3.2%増

異例の積極的な利上げを進めてきた米金融当局にとって、これらデータは経済の「ソフトランディング(軟着陸)」への道筋がまだ残されていることを示唆する。

シティ・インデックスのマーケットアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏は「景気は減速しつつあるものの、予想を上回る数字はリセッション懸念を和らげるだろう」と指摘。「これは『ゴルディロックス』シナリオだ。リスク資産にはプラスとなるはずだ」と述べた。

「失速明らか」

一方で、リセッション警戒派はGDP統計のいくつかの重要な数字に着目。米経済の最大部分を占める個人消費は、2.1%増と予想を下回り、GDPから純輸出と在庫を除いた実質国内最終需要は、前期比年率0.8%増にとどまった。前四半期は1.5%増。民間最終需要は0.2%増と、20年4ー6月期以来の低い伸びにとどまった。

米金融当局の主な物価指標である個人消費支出(PCE)価格指数は、年率3.2%上昇。前四半期の4.3%上昇から減速し、20年以来の低い伸びとなった。食品とエネルギーを除いたコアは3.9%上昇。21年1ー3月期以来の低い伸び。これまでの2四半期はいずれも4.7%上昇だった。12月のPCEは27日に発表される。

スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏はブルームバーグテレビジョンで、「 米経済の屋台骨である消費者の動向をみると、失速が明らかだ」と指摘。「消費者が満足し健全でないと、単純にプラス成長は維持できない」とし、昨年末のような「力強い成長はなおさらだ」と語った。

基調的な経済活動

ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「第4四半期はサービス分野の個人消費が力強い成長を導いたが、良いニュースはそこまでだ。純輸出と在庫、政府支出など振れが大きい要因を除いた基調的な経済活動を示す2つの指標は、かなりの景気減速を示唆している」と指摘した。

ブルームバーグの月間調査によると、エコノミストは米経済が第2四半期と第3四半期に縮小すると予想しており、今後1年のリセッション(景気後退)確率は65%となっている。

米金融当局による利上げは今年、家計にさらに大きな打撃を与えるとみられる。借入コストの上昇が生活に影響を及ぼし始めるまでには通常数カ月かかる。

「政策ミス」

金融政策引き締めはすでに経済の他の部分に圧力をかけている。10-12月は設備投資が急減速。住宅ブームが反転に向かう中で住宅投資も低迷が続いた。

来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)での利上げが見込まれており、投資家は引き締めサイクルが終わりに近づきつつあると織り込んでいる。一方で米金融当局者らは、インフレに打ち勝つまで年内は金利を高い水準で維持することを示唆している。

それでもGDP統計で示された個人消費の減速が雪だるま式に悪化すれば、米金融当局は年末までに方向転換を余儀なくされる可能性があると、アーンスト・アンド・ヤングのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏はみている。

「米金融当局の積極的引き締めへの強い決意と、政策が経済活動に影響を及ぼすまでの時間差により、政策ミスの確率が高まっている」と同氏は指摘。「2023年後半に2回程度の利下げを行う可能性はなお十分にある」と語った。

統計の詳細

2022年通年のGDPは2.1%増加。21年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に関連した経済閉鎖からの反動で需要が急回復し、米経済は5.9%増と1984年以来の高成長を記録していた。

10-12月期のサービス支出は年率2.6%増と、昨年1ー3月期以来の低い伸びにとどまった。財への支出は1.1%増と、21年以来のプラスとなった。

7-9月期に6.2%増と大きく伸びた設備投資は、10-12月期に0.7%増へ急減速した。そのうち機器への投資は3.7%減と、20年4ー6月期以来の大幅なマイナス。

住宅投資は年率26.7%減と、7四半期連続でマイナスを記録した。住宅ローン金利の急上昇を背景に、昨年の住宅販売は2008年以来の大幅減となった。

純輸出のGDPへの寄与度は0.56ポイント、在庫は1.46ポイントだった。

10-12月期のGDP改定値は2月下旬に発表される。全米経済研究所(NBER)で景気循環の日付認定に当たる委員会は、リセッション(景気後退)を認定する際、GDPと国内総所得(GDI)の平均に加え、その他さまざまな経済指標を使用する。

米GDP、10-12月速報値は2.9%増-個人消費減速も在庫が寄与

  • 個人消費は2.1%増に減速、実質国内最終需要は0.8%増加
  • 在庫寄与度は1.46ポイント、PCE価格指数は3.2%上昇にとどまる

昨年10ー12月(第4四半期)の米実質国内総生産(GDP)速報値は、予想よりも速いペースで増加した。ただ、米金融当局による積極的な利上げで今年の成長率は減速するリスクがあり、基調的な需要には減速の兆候が表れている。

10-12月の実質GDP速報値は前期比年率2.9%増ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は2.6%増7-9月(第3四半期)は3.2%増

GDP増加率のおよそ半分は在庫積み増しによるものとなった一方、政府支出は2021年初め以来の大幅な増加に並んだ。米経済の最大部分を占める個人消費は2.1%増と、予想(2.9%増)を下回った。前四半期は2.3%増。

スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏はブルームバーグテレビジョンで、「 米経済の屋台骨である消費者の動向をみると、失速が明らかだ」と指摘。「消費者が満足し健全でないと、単純にプラス成長は維持できない」とし、昨年末のような「力強い成長はなおさらだ」と語った。

基調的な経済活動

GDPから純輸出と在庫を除いた実質国内最終需要は、前期比年率0.8%増加した。前四半期は1.5%増。民間最終需要は0.2%増と、20年4ー6月期以来の低い伸びにとどまった。

ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「第4四半期はサービス分野の個人消費が力強い成長を導いたが、良いニュースはそこまでだ。純輸出と在庫、政府支出など振れが大きい要因を除いた基調的な経済活動を示す2つの指標は、かなりの景気減速を示唆している」と指摘した。

ブルームバーグの月間調査によると、エコノミストは米経済が第2四半期と第3四半期に縮小すると予想しており、今後1年のリセッション(景気後退)確率は65%となっている。

米金融当局の主な物価指標である個人消費支出(PCE)価格指数は、年率3.2%上昇。前四半期の4.3%上昇から減速し、20年以来の低い伸びとなった。食品とエネルギーを除いたコアは3.9%上昇。21年1ー3月期以来の低い伸び。これまでの2四半期はいずれも4.7%上昇だった。12月のPCEは27日に発表される。

FOMC

物価圧力の緩和は、連邦公開市場委員会(FOMC)が来週の会合で利上げ幅を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に縮小するとの見通しと整合する。FOMCは4会合連続で75bp利上げを実施した後、12月には50bpにペースを落とした。

2022年通年のGDPは2.1%増加。21年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に関連した経済閉鎖からの反動で需要が急回復し、米経済は5.9%増と1984年以来の高成長を記録していた。

10-12月期のサービス支出は年率2.6%増と、昨年1ー3月期以来の低い伸びにとどまった。財への支出は1.1%増と、21年以来のプラスとなった。

7-9月期に6.2%増と大きく伸びた設備投資は、10-12月期に0.7%増へ急減速した。そのうち機器への投資は3.7%減と、20年4ー6月期以来の大幅なマイナス。

住宅投資は年率26.7%減と、7四半期連続でマイナスを記録した。住宅ローン金利の急上昇を背景に、昨年の住宅販売は2008年以来の大幅減となった。

純輸出のGDPへの寄与度は0.56ポイント、在庫は1.46ポイントだった。

10-12月期のGDP改定値は2月下旬に発表される。全米経済研究所(NBER)で景気循環の日付認定に当たる委員会は、リセッション(景気後退)を認定する際、GDPと国内総所得(GDI)の平均に加え、その他さまざまな経済指標を使用する。

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