11/10米国株式市場は大幅反発。

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11/10(木)の株価

前日比(%)
日経平均27,446.10円-0.98
ダウ平均33,715.37ドル+3.70
S&P5003,956.37ドル+5.54
ナスダック11,114.15ドル+7.35
ラッセル20001,867.92ドル+6.11
米10年国債3.811-7.03
恐怖指数(VIX)23.53-2.56

10日の米国株式市場は3指数共に大幅反発。

10日の米国株式市場は、3指数共に急反発となった。

この日の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、FRBの利上げペース縮小期待が一気に高まっている。米CPIは総合指数が前年比で7.7%に低下したほか、特に市場が注目しているコア指数が前年比6.3%に低下していたことは市場に驚きを与えたようだ。

米CPIを受けて短期金融市場では、12月FOMCでの0.75%ポイントの利上げ期待を大きく後退させ、0.50%ポイントの利上げ期待が大きく上昇している。確率は0.50%が80%、0.75%が20%程度となっている状況。ただ、パウエルFRB議長は先日のFOMC後の会見で、ターミナルレート(最終着地点)は9月時点の予想よりも高くなった可能性に言及していたが、市場では5.25%程度がコンセンサスとなっている。米CPIを受けても、その水準はまだ変化がないようだ。

全面高の中、これまで厳しい売りに押されていたIT・ハイテク株を中心に幅広い銘柄に買いが広がった。前日のダウ平均は200日線付近まで下落していたが、きょうは一気に反転し上放れする展開を見せている。

きょうは仮想通貨市場でビットコインも急反発しており、仮想通貨関連株も買い戻しが強まっている。なお、FTXは米事業を数日内に取引停止するとし、顧客にポジション手仕舞うよう通知した。

米CPI、総合・コアとも伸びが予想下回る-利上げ減速の余地

  • 前年比で総合CPIは7.7%上昇、コア指数は6.3%上昇
  • 中古車や医療サービスの指数は低下、コア指数の伸び抑制につながる

米国では10月、インフレが市場の予想以上に鈍化した。数十年ぶりという物価上昇が勢いを弱めつつあるとの期待を持たせる内容で、米金融当局にとっては急激な利上げを減速させる余地が生まれた格好だ。

10月の総合消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.7%上昇今年1月以来の低い伸び9月(8.2%上昇)から伸び鈍化市場予想は7.9%上昇変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比6.3%上昇40年ぶり高水準だった9月(6.6%上昇)から減速市場予想は6.5%上昇

前月比ではコアCPIが0.3%上昇。総合は0.4%上昇した。伸びは共に市場予想の中央値を下回った。

ドイツ銀行の米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼッティ氏は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで「今回の統計の基調的な要素は良好で、明るい内容だ。インフレがピークから下げつつある兆候がやや見られる」と指摘した。

コアCPIの伸び鈍化は歓迎すべきニュースではあるが、インフレは金融当局を満足させるには依然として高水準過ぎる。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今月、当局として前月比でのインフレ指標が着実に鈍化するパターンを目にする必要があると述べている。また政策金利のピーク水準は当局の当初想定よりも高くなる可能性が高いとの見解も示している。

10月は医療サービスと中古車の価格指数が前月比で低下し、それがコア指数の伸び抑制につながった。総合CPIでは、住居費の上昇が指数全体の伸びの半分余りを占めた。

今回のCPIを受け、短期金融市場では12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅について、0.75ポイントよりも0.5ポイントの織り込み度合いが強まった。また来年の政策金利のピーク水準の予想は5%を下回った。

次回のFOMC会合は12月13、14両日に開催され、それまでにCPIと雇用統計の発表があと1回ずつ予定されている。

ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏は「10月のコアCPI減速により、米金融当局のハト派は今後利上げペースを減速させる強力な正当性を得たことになる」と指摘した。

住居費は前月比0.8%上昇と、1990年以来の高い伸び。ホテル宿泊費がここ1年余りで最大の上昇となったことが背景にある。住居費はサービス分野の最大項目で、総合CPIの約3分の1を占める。

食品とエネルギー、住居を除いたベースでは、CPIは0.1%低下した。

食品価格は前月比で伸びが鈍化し、中古車は2.4%低下。ガソリンは4%値上がりした。一方、医療保険は4%低下と過去最大の値下がり。

高インフレは消費者の購買力を低下させている。CPIと別に発表された統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は10月に前年同月比2.8%減少。21年4月からの減少局面が続いている。

ローガン氏ら米地区連銀総裁、利上げペースの減速を支持

  • 10月CPIは「安心感生む材料だが、まだ先は長い」-ローガン総裁
  • 利上げの「ペース減速は適切な検討事項」-デーリー総裁

米地区連銀総裁3人は10日、金融政策引き締め継続の必要性を強調しつつ、引き締めペースの減速には支持を示した。この日発表された米消費者物価指数(CPI)で伸びが市場予想以上に鈍化したことから、当局が積極的な利上げをペースダウンする時期は近づいたようにみえる。

ダラス連銀のローガン総裁はヒューストンで開かれた同連銀主催の会合で「金融・経済情勢の展開をよりきちんとした形で評価できるよう、利上げペースを緩めることが近く適切になり得ると思うが、ペース減速が一段と緩和的な政策を意味すると受け止めるべきではないとも考えている」と語った。

朝方発表された10月の米CPIは、インフレが市場の予想以上に鈍化したことを示した。ローガン総裁は「CPI統計は安心感を生む歓迎すべき材料だが、まだ先は長い」と指摘。物価上昇率が金融当局目標の2%を大幅に上回っているばかりか「総需要は供給をなおも上回り、インフレ率は再三にわたり専門家予測を上回っている」と述べた。

サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は欧州経済・金融センター(EEFC)が主催した会合で、追加利上げはなおも行われると注意を促した上で「ペース減速は適切な検討事項だ」と語った。

最終的な米政策金利はどこが適正水準かはっきりせず、4.5%を上回る可能性もあるとしつつ、より慎重にその水準に行き着くのが好ましいとの見方を示した。

「そこに向かう課程では、より漸進的なアプローチを支持する。そうすれば前に進みながら正しい金利水準を見つけることができる」とし、積極的引き締めの累積的な影響を政策当局者は認識しなくてはならないと述べた。

デーリー総裁はインフレ鈍化を示した10月のCPIを歓迎するとした上で、ひと月分のデータに過ぎず、インフレとの闘いでの「勝利には程遠い」と語った。

別の会合でフィラデルフィア連銀のハーカー総裁は「これまで実施してきた引き締めの累積を踏まえると、われわれは十分に景気抑制的スタンスに近づいており、今後数カ月で利上げのペースは減速すると予想している」と発言。

その上で「ただ明確にしておきたいのは、50bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)の利上げはなお大幅だということだ」とした。ハーカー総裁の講演テキストにはCPIへの言及はない。

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