3/15米国株式市場は反落。クレディスイスの信用不安でリスク再燃。

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3/15(水)の株価

前日比(%)
日経平均27,229.48円+0.03
ダウ平均31,874.57ドル-0.87
S&P5003,891.93ドル-0.70
ナスダック11,434.05ドル+0.05
ラッセル20001,745.94ドル-1.74
米10年国債3.462-6.10
恐怖指数(VIX)26.14+2.41

15日の米国株式市場は反落。クレディスイスの信用不安でリスク再燃。

15日の米国株式市場は、ダウ平均とS&P500指数は反落。ナスダック総合指数はプラス圏内。

SVBの破綻をきっかけに米国株はこの1週間で急速に下落したが、前日は米当局が積極的な対応を打ち出したこともあり、金融システム全体への波及は限定的との楽観論が広まった。

急落していた米地銀株も買い戻しを強めていたが、市場の不安が完全に払しょくされた訳ではない中、今度は経営難に陥っているスイスのクレディスイスへの懸念が重石になった。

同行の筆頭株主であるサウジ国立銀行のクダイリー会長が「追加の流動性支援の要請があってもこれ以上は支援を行うことは絶対にない」とインタビュイーで述べたことが不安感を引き越した。クレディ・スイスのCDSは深刻な懸念を示す水準まで到達し、他の欧州銀株にも売りが広まり、金融システムへの懸念が再燃した。

ただ、終盤にはIT・ハイテク株中心に買い戻しが出ていた。スイス当局が必要ならクレディスイスに流動性を供給すると述べたことに反応している。

市場は来週のFOMCに注目し、FRBが高金利の状態をより長く維持するというこれまでのシグナルを推進するのか、それともタカ派政策を抑制する措置を講じるのか、手掛かりを探っている。現状では0.50%ポイントの利上げの可能性は完全に後退しているほか、0.25%ポイントが35%、据え置きが65%程度と確率が一時逆転する場面も見られていた。結局、半々といったところ。

市場からは「経済、金融政策、金融システムに対する全体的な評価が難しくなっており、それ自体がリスクに対するより慎重なアプローチを正当化する」といった声や、「最近の低迷で投資家心理はさらに弱気になっているものの、下げを期待したポジション形成を強めるほど悲観的にはなっていない。ただ、FRBの政策転換はまだ期待できない」といったコメントが聞かれる。

クレディS筆頭株主が追加支援否定-株価急落、CDSは危機水準

  • 米財務省、米銀のエクスポージャー精査-ECBも欧州銀に質問か
  • クレディS、スイス中銀など当局に支援の示唆を要請-関係者

クレディ・スイス・グループの筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンク(SNB)は同行に追加投資をすることはないと、SNBのアンマル・フダリ会長が15日語った。SNBが取得したクレディ・スイス株の価値は3カ月で3分の1余り目減りした。

フダリ会長はクレディ・スイスへの追加出資について、「答えは絶対的なノーだ。規制と法律という単純な理由の他にも多数の理由がある」とブルームバーグテレビジョンのインタビューで述べた。追加的な流動性を求められたら、さらなる資金注入の用意はあるかとの問いに答えた。

CDSは危機的水準

クレディ・スイス株は同日のチューリヒ市場で一時31%安。終値では24%安となり、過去最大の下落率を記録。上場来安値も更新した。同行社債の保証コストは2008年の金融パニックをほうふつとさせる危機的な水準に上昇した。

事情に詳しい関係者が明らかにしたところによると、クレディ・スイスがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性に備え、銀行各行がカウンターパーティーリスクを軽減するためクレディ・スイス債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)購入を急いだことも保証コストを押し上げ、特に1年物の保証料はそれより長期の保証料と比べてかなり割高となっている。

中銀に支援の示唆を要請か

株価と社債価格の急落を受けてクレディ・スイスはスイス国立銀行(中央銀行、SNB)に対し、同行を支援する姿勢を公に示して欲しいと求めた。事情に詳しい関係者が明らかにした。スイスの連邦金融市場監督機構(FINMA)にも信頼感向上の後押しを要請したと、非公表の情報だとして匿名を要請した関係者が述べた。

中銀に対する支援の要請は、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が先に報じた。クレディ・スイスはコメントを控えた。

米財務省は米銀のエクスポージャー精査

一方、米財務省はクレディ・スイスの状況を監視していると、同省報道官が発言。事情に詳しい関係者によると、同省は欧州当局と連携しつつ、クレディ・スイスに対する米銀のエクスポージャーを精査している。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が事情に詳しい関係者を匿名で引用して報じたところによると、欧州中央銀行(ECB)当局者は15日、監督対象の金融機関にクレディ・スイスへの金融エクスポージャーについて質問した。

フランスのルメール財務相は15日中にクレディ・スイスを巡る状況についてスイス側と協議する計画だと、ボルヌ仏首相が述べた。

スイス中銀は15日、クレディ・スイスを巡る状況についてコメントを控えた。UBSグループのラルフ・ハマーズCEOは同日ロンドンでの会議で、クレディ・スイスについての「仮定の質問」には答えられないと述べ、自行の戦略に集中していると強調した。

筆頭株主のサウジSNB、CSFB出資にも関心なし

クレディ・スイスは投資銀行部門をスピンアウトしウェルスマネジメントに集中する複雑な再編を実施中だが、複数の米地銀の破綻を受け金融機関への懸念が市場で高まる中で、再編実行の困難は増しそうだ。

ウルリッヒ・ケルナー最高経営責任者(CEO)は14日に、財務は健全だとして約150%の流動性カバレッジ比率に言及していた。市場が混乱した13日にも顧客資金が流入したとし、再編計画はスケジュールよりも進展しているとも述べた。

サウジアラビアの政府系ファンドが37%保有するSNBは、クレディ・スイスが昨年行った増資でアンカー投資家となり同行株約9.9%を取得した。取得時の価格は14億スイス・フラン(約2000億円)だったが、数カ月の間に5億フラン以上が失われた。

フダリ会長は持ち分を10%超とすると、サウジアラビアやスイス、欧州の当局から新たな規制の対象になると説明。持ち分を増やさない理由は「ほかに5つか6つ挙げられるが、一つは規制による暗黙の上限」だと指摘、新たな規制の対象に入りたいとは思わないと語った。

クレディ・スイスがスピンアウトする投資銀行部門、CSファースト・ボストンの持ち分取得には関心がないとも同会長は述べた。

アクセル・レーマン会長は15日、政府支援が必要なのではないかとの臆測を打ち消し、そうした支援は「議題になっていない」と言明。同行の問題を米シリコンバレー銀行(SVB)破綻と比較するのは不正確だと主張した。

クレディ・スイスを巡るドラマは、米SVB破綻後の銀行セクターに対する投資家信頼感の弱さを示すものでもある。

米生産者物価指数、2月は予想外に低下-インフレ圧力の緩和示唆

  • PPIは前月比0.1%低下、市場予想は0.3%上昇
  • 前年同月比では4.6%上昇、市場予想5.4%上昇

2月の米生産者物価指数(PPI)は市場の予想外に低下した。数十年ぶりの高インフレが続く米経済の一部で物価圧力が和らぎつつあることが示唆された。

PPIは前月比0.1%低下ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は0.3%上昇前年同月比では4.6%上昇-予想5.4%上昇食品とエネルギー除くコアPPIは前月比横ばい予想は0.4%上昇前年同月比では4.4%上昇-予想5.2%上昇

総合PPIは財とサービス両方の価格下落を反映した。財価格下落の80%余りは鶏卵のコスト低下に起因し得ると、労働省労働統計局(BLS)は説明した。サービス価格の抑制には機械や自動車が寄与した。

前日に発表された2月の米消費者物価指数(CPI)では力強い労働市場に支えられ、根強いインフレが広範に及んでいることが示されていた。今回のPPIは前年同月比ベースの上昇率が著しく低下。サプライチェーンの改善やコモディティー価格の下落が背景にある。

ヘルスケアなどPPIカテゴリーのいくつかは、米金融当局が重視する個人消費支出(PCE)価格指数の算出に使用される。ヘルスケアのうち、病院の外来診療コストは伸びが加速した。

振れの大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.2%上昇。前月は0.5%上昇(速報値0.6%上昇)に下方修正された。

食品価格は3カ月連続で低下。鶏卵が36.1%下げたことを反映した。エネルギー価格は小幅に下げた。

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