10/12米国株式市場は続落。株は今年の安値更新、CPI控え

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10/12(水)の株価

前日比(%)
日経平均26,396.83円-0.02
ダウ平均29,210.85ドル-0.10
S&P5003,577.03ドル-0.33
ナスダック10,417.10ドル-0.09
ラッセル20001,687.76ドル-0.30
米10年国債3.902-1.14
恐怖指数(VIX)33.57-0.06

12日の米国株式市場は続落。株は今年の安値更新、CPI控え

12日の米国株式市場は、3指数共に下落。

取引開始前に発表になった9月の生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことで、株式市場は売り先行で始まったものの、直ぐに買い戻されている。明日の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、結果と市場の反応を確認したい意向も強いようだ。

9月分のFOMC議事録が発表になったが、株式市場は買いの反応が見られた。議事録では「少な過ぎは多過ぎよりも代償が大きい」とタカ派姿勢を強調する一方で、一部からは「リスク軽減のために引き締めを調整する必要がある」との主張も出ていたことが明らかとなった。引き続きタカ派色が強い内容ではあるものの、市場の予想ほどタカ派が一辺倒という印象でもなかったようだ。ただ、一時的な反応に留まっている。

明日の米CPIについて市場では、FRBのタカ派姿勢を確認する内容になるとの見方が有力視されている。しかし、米CPIの上昇幅は、期待ほどではないが、今年初めよりは鈍化傾向も見せている。明日のCPIがFRBのタカ派姿勢を確認する強さだったとしても、サプライズはないとの指摘も聞かれる。

いずれにしろ、FRBのタカ派姿勢、リセッション(景気後退)への警戒感が高まる中、明日の米CPIに市場がどう反応するか注目される。

銀行株が堅調。今週末に第3四半期の決算発表が予定されているが、足元の数字は底堅い内容も見込まれているものの、先行きに関しては弱い見通しを示してくるとの警戒感も高まっている。特に注目は、先行きの不透明感が高まる中、銀行が不良債権にどの程度の引当金を積むかだという。

米生産者物価指数、9月は予想上回る伸び-FRBへの圧力継続

  • 9月のPPIは前月比0.4%上昇-市場予想0.2%上昇
  • サービスや食品、エネルギーの価格高反映-コアPPIは0.3%上昇

9月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る伸びを示した。インフレ圧力の緩和には時間がかかり、米金融当局が積極的な利上げ軌道を維持することが示唆された。

米PPIは前月比0.4%上昇-3カ月ぶりのプラスブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は0.2%上昇前年同月比では8.5%上昇-市場予想8.4%上昇食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比0.3%上昇-予想と一致前年同月比では7.2%上昇

サプライチェーンの問題はおおむね改善したが、エネルギーや食品、サービスのコストは上昇。PPIの伸びの3分の2にサービスが寄与した。旅行や宿泊、食品小売り、ポートフォリオ管理、入院治療の価格が伸びた。

ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「予想を上回る9月PPIの伸びは、一部の商品価格は下落し、サプライショックは緩和しているにもかかわらずインフレが一段と定着してきたとの懸念を強める。特にサービスの分野内で賃金価格のスパイラルが起こる可能性を背景に、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーらは大幅利上げ継続の必要性に関して今後も見解が一致するだろう」と分析した。

財の価格は前月比0.4%上昇。エネルギーや食品のコスト上昇を反映した。家庭用天然ガスや暖房油、広範な食材といった生活必需品のコスト高が示唆された。

食品価格は1.2%上昇。一方、食品とエネルギーを除いたベースの財コストを示す指数は前月比変わらずとなり、2020年5月に低下して以来の低調な結果となった。

サービス価格も0.4%上昇で3カ月ぶりの高い伸びとなったが、一部の分野では物価圧力の緩和も示された。卸売業者・小売りのマージンは0.1%上昇と、4月以来の小幅な伸びにとどまった。輸送・倉庫のコストは3カ月連続で低下した。

食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.4%上昇。5月以来の大幅な伸びとなり、市場予想も上回った。

FOMC議事要旨、抑制的水準への利上げ支持-調整必要との声も

  • 行動が少な過ぎる代償はやり過ぎの代償よりも大きい-多くの参加者
  • 2%物価目標に戻すことで意見一致、景気抑制的な政策には慎重論も

米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月20-21日に開いた会合では、当局者が政策金利を景気に抑制的な水準に今後短期間で引き上げ、インフレ率を目標値まで押し下げるためにその水準で維持する方針を示した。12日に公表された議事要旨で明らかになった。

ただ、議事要旨は「特に現在のかなり不透明な世界経済と金融環境の中では、経済見通しへの著しい悪影響のリスクを和らげることを目的に、追加引き締めのペースを調整することが重要であろうと幾人かの参加者が指摘した」としている。

FOMCは前回9月の定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75ポイント引き上げ、3-3.25%に設定した。0.75ポイントの利上げは3会合連続だった。

「インフレ抑制に向けた行動が少な過ぎた場合の代償は、やり過ぎた場合の代償よりも大きい可能性が高いと、多くの参加者が強調した」と、議事要旨は指摘。

インフレ率を金融当局の目標である2%に戻すことに関しては、FOMCは意見が一致したが、幾人かの参加者は政策金利が景気抑制的な領域に達したとして注意を促したという。

マクロポリシー・パースペクティブズの創業パートナー、ジュリア・コロナド氏は0.75ポイント未満に「11月の利上げ幅を引き下げることについて、非常に高いハードルを当局は設定した」と指摘。「そう判断できるようなデータは十分には出ていない」と述べた。

12月以降のFOMC会合については、市場のストレスや国内経済の悪化を示す兆候にこれまでよりも政策の重点が置かれる可能性が高いと同氏は指摘した。

連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード副議長は10日に「慎重にデータ次第の姿勢で前進する」ことを主張したが、今回の議事要旨はこの見方に賛同する参加者がいることを示唆している。政策が効果を表すのに時間がかかることを考慮し、リセッション(景気後退)や市場のストレス増大を引き起こすことなくインフレを低下させることが可能かどうかを見極めたい当局者だ。

コロナド氏は「ブレイナード副議長だけではない」と指摘した。

高まるインフレ圧力への対応が遅いと批判され、FOMCは1980年代以来の積極的な引き締めを実施している。ゼロに近かった政策金利を3月から引き上げ始め、これまでの利上げ幅は合計300ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となっており、追加利上げも示唆している。

アーンスト・アンド・ヤングのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「経済活動の比較的緩やかな鈍化と物価動向の遅い反応を考慮し、FOMCは堅い決意を持ってさらに抑制的な領域へと金融引き締めを進めている」と述べた。しかし、「リスクバランスは急激に変化している」と指摘。「世界経済と金融市場を巡る強い不確実性は、FOMCに政策対応の調整を迫るだろう。協調なき世界同時引き締めサイクルという状況ではなおさらだ」と話した。

9月の定例会合後に公表された金利予測分布図(ドット・プロット)によれば、当局者は政策金利について今年末までに4.4%、23年中に4.6%に上昇すると見込んでいる。

それには経済的代償が伴うと判断しているようで、経済成長率については23年が1.2%に下方修正され、失業率は4.4%に上方修正された。

議事要旨は「政策が抑制的な領域に入るに伴い、リスクが一段と二面性を持つようになると幾人かの参加者は判断した。つまり、総需要への累計的な抑制が、インフレ率を2%に戻すのに必要なものを上回るという下向きリスクの発生を反映している」と記述している。

インフレ率は当局の2%目標を1年余りにわたって上回っており、当局が低下させられるかどうかの信認が問われている。

「高インフレを根付かせず、インフレ期待を高めないようにするためには、適切に抑制的なスタンスに向けて固い決意で政策を講じることが有効だとの見方でFOMCは一致した」という。

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