8/25米国株式市場は続伸。FRB議長講演待ち

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8/25(木)の株価

前日比(%)
日経平均28,479.01円+0.58
ダウ平均33,291.78ドル+0.98
S&P5004,199.12ドル+1.41
ナスダック12,639.26ドル+1.67
ラッセル20001,964.63ドル+1.52
米10年国債3.030-2.45
恐怖指数(VIX)21.78-1.04

25日の米国株式市場は3指数共に続伸。FRB議長講演待ち

25日の米国株式市場は3指数共に続伸。

取引開始直後は売買が交錯したものの、次第に上値追いの動きが優勢となった。中国が1兆元(約20兆円)規模の景気刺激策を打ち出したことも株式市場をサポートした。

きょうからジャクソンホールでのFRBの年次総会が始まっている。特に明日のパウエルFRB議長のスピーチ待ちの雰囲気が強く、株式市場はそれに対する警戒感も広がっている模様。

市場では、FRBがハト派に方向転換したという見方が市場に広がらないよう強調すると見られているようだ。メッセージの核心は、例え引き締め策が米経済をリセッション(景気後退)に追い込むリスクがあるとしても、インフレ抑制を優先するといった内容になるのではと見込まれている。

一部からは、「パウエルFRB議長はハト派的転換という早まった期待を押し戻し、高インフレとの闘いに焦点を当てることを繰り返す。世界経済の見通しがますます暗くなる中で、市場が彼の発言を真剣に受け止めるかどうかはまだわからない」との声も出ていた。

テスラ<TSLA>が本日から1対3の株式分割後の取引を開始している。前日終値で算出した理論値から上昇して始まったものの、その後は売りに押されている。

本日は米国債利回りが低下しており、IT・ハイテク株に買いが入っており、ナスダックも上昇。エヌビディア<NVDA>が予想通りに冴えない決算を発表していたが、株価は売り一巡後に買い戻しが強まったことで、半導体関連が連れ高となり、フォローとなっている模様。

「米利上げは継続を」、米地区連銀総裁らが相次ぎ主張-幅は明言せず

  • ジャクソンホールで年次シンポジウム開幕、金融当局者が一堂に会す
  • 米政策金利、景気抑制的な水準には達していない-ジョージ総裁ら

米金融当局者が相次ぎ利上げ継続の必要性を強調した。ただ、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅については明言を避けている。

カンザスシティー連銀のジョージ総裁は、年次シンポジウムを主催するワイオミング州ジャクソンホールで、政策金利はまだ景気抑制的な水準ではなく、一定期間は4%を上回る必要があるかもしれないと語った。

ブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じたジョージ氏は、「われわれが向かう最終地点ついて明確に伝えることが非常に重要だ」と発言。「需要を減速させ、インフレ率を目標に戻すため、金利をさらに引き上げる必要がある」と述べた。

2日間に渡り開催される年次シンポジウムでは、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が26日に講演する。パウエル氏もインフレを抑え込むため金融引き締めを続ける意思を改めて示すとみられている。

米金融当局は過去40年で最も強い物価上昇圧力を抑えるため、政策金利を急速に引き上げている。7月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.5%上昇。当局がインフレ目標の基準値としているPCE総合価格指数は6月、前年同月比で6.8%上がった。

どこまで金利を引き上げるべきかとの質問に対し、ジョージ氏は「まだ進む余地がある」と答え、来年利下げに転じるとの金融市場の観測をけん制。「4%を超えることもあり得ると思う。問題外とは考えていない」と述べた。

過去2回のFOMCでは政策金利をそれぞれ0.75ポイント引き上げており、中銀幹部らは経済指標次第では9月も同じ選択肢があり得るとしている。

フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も、政策金利を景気抑制的な領域まで引き上げる必要があるとの見方だ。

同氏は米CNBCとのインタビューで、「インフレに関してはかすかな希望がある。かすかなというのを強調する。われわれの仕事は全く終わっていない。前向きに捉えられるが、インフレをコントロールするために利上げを続ける必要がある」と語った。

ハーカー総裁、景気抑制的な政策金利が必要-物価制御が第一の仕事

ただハーカー氏は、9月の利上げ幅が0.5ポイントであれば幾分ハト派的だとの見方に異論を唱える。「1983年以降、金融当局は金利を86回引き上げた。そのうち75回は0.5ポイントを下回る幅だった」と指摘。「つまり、0.5ポイントか0.75ポイントかは今は明言できないが、0.5ポイントが大きな動きではないと考えるのはやめよう」と話した。

アトランタ連銀のボスティック総裁は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、9月のFOMCで0.5ポイントと0.75ポイントのどちらを支持するかまだ決めていないとした。

「現時点ではどちらか二択だろう」とした上で、「われわれ政策当局者はみな、インフレが大きな問題であり、対処するためにできることは全てやるべき課題であることを理解している」と述べた。

金利先物市場では、0.5ポイントと0.75ポイントの利上げの織り込み度合いは均衡している。

ボスティック氏もジョージ氏と同様に、現在2.25-2.5%であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは、まだ経済活動を減速させるほどの水準に達していないとみている。ボスティック氏の考えでは、中立金利は3%付近である公算が大きい。中立金利は、景気を加速も減速もさせない理論上の水準。

中銀幹部らは6月のFOMCで長期的な中立金利が2.5%になるとみていた。ただ、7月会合の議事要旨では、短期的にこの水準が上がる可能性について議論があったことが示された。

米経済成長の主要指標、異なる方向示す-リセッション議論複雑に

  • 4-6月の実質GDPは前期比年率0.6%減-前四半期は0.9%減
  • 4-6月の実質GDIは前期比年率1.4%増-前四半期は1.8%増

米経済成長に関する2つの主要指標、国内総生産(GDP)と国内総所得(GDI)は2022年上期にそれぞれ異なる方向を示した。リセッション(景気後退)を巡る議論をさらに複雑にするものだ。

4-6月実質GDP改定値は前期比で年率0.6%減少エコノミスト予想中央値は0.7%減速報値は0.9%減1-3月(第1四半期)は1.6%減

4-6月の実質GDP改定値は、個人消費の上方修正を受けて速報値から上方修正されたが、依然として前期比マイナスだった。

一方で4-6月の実質GDIは同1.4%増加。前四半期は同1.8%増だった。GDIはGDPに比べると知名度は低いが、国全体の経済規模を所得の面から計測した指標。

理論的に両指標はほぼ等しくなるはずだが、現実には特に初期段階の推定値では差が出る傾向がある。とはいえ、現在のギャップはかなり大きい。

GDPの数値は、今年上期に経済の勢いが急失速したことを示唆している。

一方でGDIは、それよりは緩やかな景気減速を示している。数十年ぶりの高インフレによる打撃を受け始めてはいるものの、堅調な労働市場と個人消費が経済を支えている姿を映し出している。

リセッション判断

多くの国・地域がGDPの2四半期連続マイナス成長をリセッションの定義としているのに対し、米国の場合は全米経済研究所(NBER)で景気循環の日付認定に当たる委員会に判断が委ねられている。

同委員会はGDPとGDIの平均値と、その他の各経済指標を用いてリセッションか否かを判断する。4-6月のGDPとGDIの平均値は前期比年率0.4%増。1-3月は同0.1%増だった。

米経済の最大部分を占める個人消費の4-6月改定値は1.5%増と、速報値の1%増から上方修正された。

民間在庫投資も速報値からは上方修正されたが、GDPには引き続きマイナス寄与となっている。

GDPは7−9月(第3四半期)に持ち直すと予想されているが、リセッションに対する懸念は根強い。米金融当局はインフレ退治に向けて積極的な利上げを行っている。これまでのところ、消費者への影響は住宅ローン金利の上昇と、それに伴う住宅市場の急速な悪化という形で最も明確に表れている。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は26日のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)講演で、インフレ抑制に向けた利上げ継続の決意をあらためて示すとみられている。

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